000:一角獣
版画家の家に家政婦としてはたらくことになった三十歳代の女が、版画家との交流を通してはじめて恋を知る。
主人公の女は流されるままに男と寝るような生活をおくってきて、女であることに疲れている。彼女が求めているのは静かな暮らしだ、年を取り、「古い蝋燭のようになりたい」というイメージだが、そこに希望はない。画家の死を経て、ラストシーンには「待つ時間」だけが横たわる、ただ、待っているという静かなたたずまいは、冒頭で女がなりたかったと蝋燭のシルエットと響き合いながら、もっと豊かになっている。
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